【010】地中に眠っていた鎌倉街道-国内最大が発見

町田市野津田町上ノ原の発掘現場: 12メートル幅の鎌倉街道上ノ道本路跡

1985年のある日、多摩丘陵の町田市小野路町や野津田町で、古老や地の人たちから、 その土地に伝わる話を聞いて歩いていたときのことです。 そろそろ陽も傾き始め、土地の人も畑から帰り支度を始めていました。
-中略-
  真っ暗なやぶの中で、夜空の薄明かりに照らし出されて、 土手のような二つの壁が十メートルほど離れて対面しているのが見えるではありませんか。  「これが本物の鎌倉街道上ノ道の跡なのか。伝説はほんとうだったのだ!」と、暗闇のなかで言いしれぬ感動に包まれたのです。 後にここが発掘され、鎌倉街道の中でも、もっとも大きな痕跡であることが判明しようとは、このときはまだ想像もしていませんでした。

 -中略-

   現在、この場所は土を覆いかぶせたままになっていて掘り返せば再び姿を見せますが、特別な保護をしないかぎり、 この一級文化財は消滅を免れない危機にひんしています。

 

『鎌倉街道伝説』(宮田太郎著)より